CITRON.

のん気で内気で移り気で。

2017-01-01から1年間の記事一覧

お菓子はやらぬ。いたずらもするな。

駅の構内に、具合が悪そうに座り込んでいる女の子がいた。 年齢は、おそらく10代後半から20代前半。この寒い朝にミニスカートで、駅の床にぺたりと座り込んでいる。片手にはスマートフォン。この距離では表情の細かいところはよくわからないが、斜め上を向い…

そのコーヒーは猫の味。

「吾輩は猫であるブレンド」というコーヒー豆を買う。もちろん猫味というわけではない。 やなか珈琲店の「飲める文庫」というシリーズで、往年の名作の読後感をコーヒーで再現したものらしい。100グラムで950円。僕の宇宙の中ではかなりの贅沢品だ。 飲んで…

はやくおうちにかえりたい。

突発性の飲み会の後、はやくも痛くなりつつある頭をなるべく揺らさないように電車に乗る。たまたま空いていたところに座り、極力おとなしくしていたところ、どこかの駅から乗ってきて目の前のつり革につかまった男性が、見事なくらいに酔っ払いなのであった…

ショパンかどうかは知らないけれど。

本屋に行きたい。ちょっと気になっている携帯電話のケースも見に行きたい。そろそろ髪も切らないとまずい。ちなみにこの「そろそろ髪を切らないとまずい」というのは、お洒落要素皆無のコメントであって、つまりこの「そろそろ」は、「そろそろ切らないと見…

親愛なるデッカードさん。その後、お元気ですか?

録画していた『ブレード・ランナー』を観る。 昨日から公開されている続編を突然(映画館で)観たくなったので、そのための予習をすることにしたのだ。 久しぶりに観る『ブレード・ランナー』は、相変わらず、しみじみとひたすらにカッコよく、しみじみとひ…

つまり友達が少ない。

他人が書いたメールとかLINEとかを読み返すのが好きなのだ。 自分ではない人の書いた言葉というのはなんて面白いんだ、んもう、嫉妬しちゃう、というようなことを常々思っているのだが、もちろん誰が書いたものでも面白いというわけではなく、たとえば、ヤマ…

嘆きの花子さん。

会社のトイレでよく出会う人がいるのだけれど、よくよく考えてみるとこれはわりと不思議なことのような気がする。 会社ではトイレの時間が指定されているわけではなく、各自自分の膀胱なり大腸の都合でトイレに向かうわけだが、そのタイミングがやけに合うと…

銀河鉄道停電中。

「……なお、この電車は、諸事情により、行き先を変えることがございます。ご了承ください」 今まで数え切れないほど乗ってきた通勤電車で、こんなアナウンスが聞こえてきた。もちろん、初めての経験だ。 ……行き先を、変える? ゆっくりと走り出す電車。 夜な…

眠れぬ夜のために。

なかなか眠れないとか、眠っていてもすぐに起きてしまうとか、そういう夜がたまにある。というか、今晩がそういう日なのである。 そういう時には、ついついそばで寝ている犬を眺めたりなでまわしたりする。今宵の我が愛犬は、うっすらと目を開けて眠っている…

風の音。

早朝のニュースによると、会社から3キロくらいの住宅街で避難勧告が出されたらしい。 雨はそれほど強くないけど、風がすごい。 自宅から駅に向かうコースには途中に高校と幼稚園があり、都内の住宅街にしては大きな木を多く見ることができる。それらの木々…

雨の日の過ごし方。

朝からそれなりの量で雨が降るような日は、眠くて仕方がない。 半日ほどトロトロと過ごし、夕方、投票に行く。 僕は、あの投票用紙が好きなのだ。 あの、つるんつるんとした紙に、備え付けの鉛筆でさらさらと字を書き込み、半分に折る。腰が強い紙なので「折…

人肌マヨネーズ発生事件。

娘の学校の文化祭で行われるバザーに出すものを、雨が降る中、学校まで持っていく。 本来は娘が登校する際に持っていくものだが、すっきり潔く忘れていったのだ。 学校から配布された説明用のプリントによると、今日の午前中までに必ず提出しなくてはいけな…

通り抜けられないあいつ。

少し早出して仕事をはじめて、ほんの少し残業をして終える。通勤電車を途中で降りて、ガチャガチャを一回。かわいらしいのを一つ、と思ってコインを投入したのだが、出てきたものは、なんというか、 「あ、朝起きたら、顔がこんな風に」 ……ととまどっている…

初めて話した人の名は、結局忘れてしまった。

今日は会社の飲み会なのであった。歓送迎会という名の、まあ、「オフ」に対しての「オン」といっていいものだ。 僕が着いた席は、右隣が上司、正面と右斜め前がはじめて話す人、左側が壁、という、そこそこ難易度の高いところであった。その場の雰囲気から察…

それはきっと昭和の響き。

出勤時、最寄り駅に着いたところで定期を忘れていることに気付く。 一瞬、切符を買って会社に行こうかとも思ったのだが、そのために必要な費用をカチャカチャチーンと計算すると往復で900円くらいになることがわかり、まっすぐ帰宅したのであった。 会社に行…

今月のチャレンジャー。

ちょろっと残業をして、さてそろそろ帰ろうかというタイミングで飲みに誘われる。 我が家には「誘われた飲み会には極力参加すべし」という家訓があるので当然のように参加した。この家訓を作ったのはウチの奥さんで、若かりし頃に上京して就職した会社が、運…

自分史上最強オノマトペ。

今朝、テレビのお天気お姉さんが「コートを着てもいいくらいの寒さ」と言っていたので、 「いやいやさすがにそれは大げさなのでは。草生えるかよ」 と、なんとなく使ってみたくなった最新のネット・スラングを混ぜ込んだコメントを発しつつ玄関のドアを開け…

ホットなドッグのぬくいやつ。

娘の風邪が本格化したので、かわりに犬の散歩をする。 ところで、ウチの犬は、朝晩の散歩中しかトイレをしないというおそるべき体質なのである。 トイレが近いか遠いかと問われれば、うつむきかげんで、下唇をかみつつ、「……ちかいです……とても……」と言わざ…

大怪獣ふたたびあらわる。

朝、娘を学校に送り出し、昨日の飲み会のレシートをスキャンした画像を幹事役の先輩にメールで送る。 その後、ハイボールをちびちびと飲みながら、ポテトチップスを食べたり読みかけのSF小説を読んだりして過ごす。そんなことをしている間にいつのまにか眠っ…

飲み会はある意味、はじまる前に終わる。

今日は、会社の先輩が企画と幹事を担当した飲み会なのであった。 お手伝いを命じられたので、補佐として、参加者への連絡、日程と場所の選定をする。適当に居酒屋を選び、予約もした。 僕がいうのもアレなのだが、なかなか面白いメンバーがそろったと思う。 …

『土付きゴボウ収納袋』しか思いつかない。

雨の降っている日にスーパー・マーケット入り口で手に入れる傘袋について、あれを正確に1枚だけゲットできる人を僕は尊敬する。 毎回、2枚引きちぎってしまい、余った1枚をもてあましてしまうのである。 どうせ毎回余分に手に入れてしまうのであれば、何…

チップスのtips。

プリングルズとかチップ・スターに代表される、筒型の容器に入った、お行儀良くみんな同じカタチになっているポテトチップスを、成形ポテトチップスというらしい。 僕はどちらかというと成形ポテトチップス以外の「非成形ポテトチップス」よりも成形ポテトチ…

後日談。

会社から帰る途中、娘から連絡がくる。 「ドーナツが食べたい。体調が悪いみたい」 ……遺伝子って怖いなあ、と思う。 ドーナツのチョイスについてはおまかせでいいそうだ。まかされるのはかまわないのだが、その代わりに時間はかかる。 たまーにデパ地下のケ…

おかしな風邪の治し方。

僕の父親は、昔から、風邪をひくとショート・ケーキとコーラで治す人なのであった。 体調が悪くなるととにかく甘いものが食べたくなるのだ。単に甘いものが欲しいだけなら饅頭でもチョコレートでも角砂糖でもいいようなものだが、体調が悪くなったときにはシ…

『ケータイ捜査官7』というドラマがとても好きだった。

できるだけリッチでゴージャスなエクスペリエンスを提供したい人間と、できるだけソリッドかつシンプルかつミニマムな生活を目指す人間はなかなか分かり合うことができず、そのミーティングはそこそこ長時間になってしまったのであった。 ……というのはつまり…

心やさしき大怪獣。

風邪っぽい感じがなかなか抜けないので、今日は極力寝て暮らす。 ……「ネテクラス(寝て暮らす)」という言葉の響きは、なんとなく怪獣の名前っぽいような気がする。 「大怪獣ネテクラス」 巨大な体をもてあまし、移動するだけで様々なものを破壊してしまうが…

一万歩生活。

僕の腕時計には簡易的な歩数計が内蔵されていて、歩数が一万歩を越えると軽く振動するようになっている。 なかなか興味深いのが、平日の場合、一万歩を越える地点というのが、だいたい同じところなのである。とはいえそれなりに誤差はあるのだが、それでも、…

誰がためにお湯は沸く。

夕方、自宅からLINEが来る。 自宅からLINEが来ることはあまりないので、もしや一大事かと思い送られてきたメッセージを読んでみると、「突然風呂が沸いた」というものであった。 この瞬間、早朝に風呂に入りたくて昨夜タイマー設定したにもかかわらずバスタ…

少年ハート。

おっさん同士でお酒を飲んでいると、たまに出てくる話題が「お前は女性をちゃんと見ていない」というものなのである。この場合の「お前」とは、僕のことだ。 こういうことをいつも言われるわけではないが、とはいえはじめて言われたことでもないので、この指…

悪寒に鈍感、食感には敏感。

食事の時間ではないときに、おやつとして犬にあげるペット用クッキーがある。 それはそれとして、僕は朝は無駄に早く起きていて、これはもう人によっては「これは深夜だろう」と思っていそうな時刻に起きていたりする。 僕が起きると犬も一緒に起きてくる。…