CITRON.

のん気で内気で移り気で。

一万歩生活。

僕の腕時計には簡易的な歩数計が内蔵されていて、歩数が一万歩を越えると軽く振動するようになっている。
なかなか興味深いのが、平日の場合、一万歩を越える地点というのが、だいたい同じところなのである。とはいえそれなりに誤差はあるのだが、それでも、自宅に着く直前のある路地のどこか、というくらいの特定はできる。
毎日、同じくらいの時刻に自宅を出て、同じくらいの時刻に帰宅しているのでそれほど意外なことではないのかもしれないが、「人生のレール」というような意味の言葉をかなり具体的に実感してしまったような気がする。今日はトイレの個室を求めて会社内を長旅してしまったぞ、とか、今日は帰宅途中にちょっと買い物をしたのです、というようなことがあっても、全体的な歩数は大きくは変わっていないらしいのだ。これはつまり、日々だいたい同じようなことをして生きている、といってもいいのかもしれない。
まあ、僕はデスクワーク専業のサラリーマンだからして、日々の行動が変わりばえなく安定しているというのはきっといいことなのだろう。一日中ほとんど自席に拘束されるとか、逆に社内を走り回って一日が終わるというような、いつもより歩数が大幅に増減するような日があったらとしたら、それはきっと仕事上で大事件が起きている時だ。

この件についてこれといって意見はないのだが、なんというか、わりと素直に感心はしたのであった。