CITRON.

のん気で内気で移り気で。

たしかにそれは夏の季語。

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数か所、蚊に刺された。

場所は下半身が多く、ざっと数えると五か所。
事件は眠っている間に起きたものと思われる。まったく気づかなかった。
敵ながらあっぱれというか、いい仕事しやがるというのが正直な感想だ。

いやいや。
これは、蚊のスキルが高いというよりも、僕の聴力が弱まっていて、接近に気付かないだけなのかもしれない……というかおそらくそうなのだろう。これこそまさにモスキート音なので、よく聞こえなくてもいいお年頃ではある。

「聞こえなくてもいい」という断定の仕方はちと違うのかもかもしれないが、蚊の飛行音なんて、聞こえて楽しくなる音ではないのも確かだ。
蚊が運んでくる病気もあるので、接近されることがわからないというのも困ったことなのだろうが、あの不快な音が聞こえないという条件つきなら「血ぐらい少しならわけてやるよ」みたいな、蚊に譲歩したような態度をついとってしまいそうだ。

ところで、我が家では蚊に刺されるのは僕ばかりのようで、「蚊に刺された」と訴えても「もう夏だね」などと季語のように扱われるだけなのである。他のメンバーも刺されないわけではないようなのだが回数的にはかなり少ないようで、娘などは、「だいたい年間で五か所くらい」しか刺されないらしい。つまり、僕は一晩で娘の年間記録と並んだことになる。
なんてことだ。

飲酒をすると蚊にさされやすくなる、という話を聞いたこともあるが、さすがに四六時中飲んでいるということはなく、それでいてシーズン中は四六時中蚊の脅威におびえている。飲酒の有無にかかわらず、蚊は僕の血を優先的に吸おうとしているように思えてならない。
これはひょっとすると、僕の血は蚊にとって美味、ということなのかもしれない。家族の血が100円くらいのアイスだとすれば、僕の血はハーゲンダッツ級、というくらいの差があるのではないだろうか。とはいえ、蚊の中にも「いやいや、安いほうが逆に美味い」というこだわり派もいるだろうから、そういう蚊は娘の血を狙うのだ。

【今日の仮説】
僕の血液はハーゲンダッツ級。よそよりちょっと美味いのだ。
……だからといって、「ならしょうがないか。美味いんだものな」というように割り切れるかというと、それはまた別の話ではある。