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CITRON.

のん気で内気で移り気で。

セルフサービス・バースデー。

ちょっとした用事があり、実家に帰る。

電車の中で、ケーキを買うことを思いつく。父の誕生日が近いのだ。 実家に向かう途中で立ち寄れそうなケーキ屋いくつか思い出し、母親に、ケーキを買っていく旨をLINEで伝える。両親と僕が食べるだけなので、ホールではなく、種類の違うカットケーキを3つ買うことにしよう。
LINEの送信ボタンを押した直後、ある意味絶妙なタイミングで、とある事実が僕を襲う。

そういえば、現金がない。

金曜日に飲み会があり、そこで現金を使い切ってから、財布にお金を入れていないということに、LINEを送ったあと気付く。
なぜ、送信ボタンを押す前に気付かなかったのだ。

さっきいくつか思い出したケーキ屋の中には、suicaが使えるところもあるのだが、おそらく人数分のケーキを買うほどの残高はない。 僕は携帯を出し、
「ケーキを買いたい気持ちはあるのだが、現金がない」
という内容のメッセージを母親に送る。
しばらく後、母からこんな内容の返信がくる。
「了解。問題なし」
問題なしの意味がよくわからない。

実家に着くと、居間のコタツの上にケーキの箱がある。最近、近所にできたケーキ屋に行ってみたかったという理由で、父がケーキを買いに行ったそうだ。母が言うところの「問題なし」とは、そういう意味だったのか。父は甘いものが好きな人なので、新しくできたケーキ屋に行ってみたいという気持ちに嘘はないと思うのだが、なんだか申し訳ない気持ちになる。

箱の中にはチョコレートのケーキが3つ入っていた。
決心しないと買えないような価格のコーヒー豆を持って行く、と事前に言ってあったので、それにあわせたのかもしれない。まあ、決心しないと買えない価格といっても、それはあくまで僕の感覚では、という話である。200グラムで1,600円ちょっとなんて、自分で豆を挽いてコーヒーを作るような人にはなんでもない価格なのだろう。もったいぶるほどのものではない。

甘すぎないそのケーキの味は、今日の僕の気持ちに大変よくフィットして、とても美味かったのであった。