CITRON.

のん気で内気で移り気で。

結ぶ言葉。つなぐ心。(タイトルは後から無理やり考えました)

『ラ・ラ・ランド』という映画の評判がいいらしい。
公式サイトによると、「アカデミー賞、史上最多タイ、14部門ノミネート」ということだ。

なんといっても、「アカデミー賞、史上最多タイ」である。
こうなるとどうしても気になるのが、「タイ」ってなんだっけ? ということだ。

「史上最多タイ」と聞いて、まず思うのは、言うまでもなく、「これを言ったのは九州男児だろう」ということだ。
この映画の関係者に、九州出身の男がいたのである。体も大きいが心も大きい、やさしく豪快で、意外と笑顔が可愛かったりする……そういう男だ。
そういう男が、誰かに聞かれたのだろう。「アカデミー賞のノミネート、どうだった?」と。
男はうれしそうに、満面の笑みを浮かべながら、こう答えたはずだ。
「史上最多タイ」

まあ、実際に関係者の中に九州男児がいたのかどうか、という点についてはこちらに置いておくとして、本当に言いたかったのは、
「史上最多タイ」というような言い回しってよく聞くけど、そういえばタイってどういう語源なんだっけ?
……ということなのである。

ざっくりと調べてみると、この場合のタイは、アルファベット表記では「tie」になり、「ネクタイ」の「タイ」と同じ言葉になる。大ざっぱにいって「結ぶ」とか「つなぐ」という意味のようなので、「ネクタイ」と「引き分け、同点」が同じ言葉を使うのもわりと想像しやすいような気はする。

ところで、先ほどの九州男児は地元に彼女がいる(という設定にした)。
今朝、出社する九州男児の後ろ姿をたまたま見つけた同僚はこう思う。
「あいつ、なんだか機嫌がいいな」
同僚からは後ろ姿しか見えないが、それでも彼の機嫌の良さは充分に伝わってくる。隠し事ができないのが九州男児なのだ。
察しのいい同僚は、あることに気づく。そうか、今日はバレンタイン・デーか。
同僚は前をゆく大きな背中にこう声をかける。
「さては、九州の彼女から何か届いたな?」
少し驚いた様子で振り返った九州男児。ワイシャツの襟の間には、普段よりも少し華やかな柄の結び目が。
彼は満面の笑みを浮かべて、それを指さしながらこう言うのであった。

「ネクタイタイ」