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CITRON.

のん気で内気で移り気で。

ゴー、ゲームボーイズ!

ある日のこと。

もうけっこう長いこと、それこそ数年単位で行方がわからなくなっていたゲームボーイが、ついに発見された。この手の探し物ではよくあることかもしれないが、「おや、そこはとっくに探したハズ……」というところから、しれっと発見されたのだ。

発見されたのは、ゲームボーイ・カラーと、ゲームボーイ・ポケットの二つ。ちなみにゲームボーイとは、任天堂が大昔に発売していた携帯ゲーム機で、ニンテンドー3DSの先祖のようなものだ。
それぞれのスロットにはカートリッジが刺さったままになっていた。タイトルは『ドラゴン・クエスト・モンスターズ2』と『ポケット・モンスター赤』。どちらもいまだに現役のシリーズだというのがすごい。

乾電池を入れる部分のフタを開け、中が空であることを確認する。これが心配だったのである。乾電池を入れたまま放置していたりすると、乾電池に含まれている液体が漏れ出し、それが原因でゲームボーイ本体が壊れたりするのだ。なんというか、僕くらいの世代にとっては、「生卵を割って中身をご飯にかけると卵かけご飯になります」というくらいの、「まあ、そりゃそうだよねえ」レベルの話なのだが、最近の携帯ゲーム機は充電式だし、「液漏れ」という単語もあまり聞かなくなっているような気もしたので、一応書いておいた。

このゲームボーイたちは、弟の形見みたいなものなので、できれば壊したくなかったのだ。
ドラゴン・クエスト・モンスターズ2』のカートリッジを見ると、どうやら2001年に発売されたもののようだ。2001年といえば弟の亡くなった年で、そういう視点で考えると、わりと最近のようにも思えてくる。

記憶とは実にいいかげんなもので、ゲームボーイが21世紀に入っても現役のハードウェアだったとは思ってもみなかった。過去の記憶を丁寧に整理すれば「あ、そんなもんか」と納得するのだろうが、ざっくりと考えてしまうと、「ゲームボーイといえば大昔」というような、間違った認識を持ってしまう。
下手したら「ゲームボーイ、中学生の頃、すごく流行っていたよなあ」みたいなことを考えてしまいそうになるが、僕が中学生の頃、この世にまだゲームボーイは誕生していなかったのだ。

十数年前、形見として手に入れたゲームボーイに、どうして新しい乾電池を入れる気になったのか、今となってはよく思い出せない。ある日、ふと、「持ち主が見ることのできなかったエンディングを見てみるか」みたいなことを思いついたのだ。それ以来、たまにスイッチを入れてはプレイしていたのだが、進捗はあまりよろしくない。前回のプレイから数年単位で間が空いたりするようでは、ゲームより先に僕の人生がエンディングを迎えてしまいそうだ。本気でエンディングが見たいなら、いっそ、最初からやり直した方がいいのかもしれない。

今後のことは後でよく考えるとして、ひとまずはゲームボーイ発掘成功を素直に喜びたい。
この勢いに乗り、僕は次のクエストを始めよう。次の捜索対象はニンテンドーDSだ。初期モデルで、ゲームボーイ・アドバンスのカートリッジが刺さるようになっている。そこには『MOTHER 1+2』というロールプレイング・ゲームが刺さっているはずだ。本来なら、いつものあの引き出しに入っているはずなのに、いつの間にか姿を消したのである。

自宅内ダンジョンでの冒険は続く。