CITRON.

のん気で内気で移り気で。

僕らは半分、夢の中。

「風邪薬でやられちまったみたいな、そんな気分」

というようなことを歌っていたのはフィッシュマンズだ。ちなみに『LONG SEASON』というアルバムに収録されている同名の曲の歌詞なのだが、このアルバムがなかなか面白く、収録曲数が『LONG SEASON』1曲のみで、その1曲が35分もある。すごく長いけれど何度聴いても飽きない。乗り物の中でこれを聴きながら外を眺め、そのままうたた寝してしまうととても気持ちがいい。

週末から風邪薬を飲み続けているのが関係しているのかどうかわからないが、今日は一日体がとろんとしている。だるいというのともやや違うし、眠いというのともニアリーイコールだ。時々、空中とまではいかないが、地上数センチのところをふわふわと歩いているような感じもする。なんとなくぼんやりとしていて、マンガで例えれば目の中心部を真横に通る水平線が引かれているような状態といっていい。
まあ、ぼんやりしているのはいつものことなのだが。

とろとろとベッドの中でこの文章を書いていると、そばで寝ている犬のあくびが聞こえてきた。犬に視線を移すと、彼女は、

「そろそろ寝たらどうでしか。おでをなでてから」

と言い、僕がなでやすいように体を開き、お腹をこちらに向けてきた。
犬のお腹をなでていたら、なんだか急に眠くなってきた。そろそろ寝ないと、昨今Twitterで話題の「しかるねこ」ちゃんに怒られてしまう。

明日は今日より寒くなるそうだ。
僕は寝相がたいそう悪い。暑かろうが寒かろうがかなりの高確率で掛けぶとんから脱出してしまう頑固さを、何か他のことで有効に使えないものか、といつも思う。

明朝の寒さの具合によっては、風邪の完治が遅れるかもしれない。そんなことを思いながら犬を見ると、天井にお腹を向けたまま眠っている。ポーズとしては死んだ昆虫に近いような気もするのだが、犬や猫のこのポーズは問答無用でかわいらしい。特に「うらめしや」のカタチになる前足がいい。このポーズの魅力の半分は、前足のカタチにあると言ってもいいかもしれない。

まぶたが重くなってくる。
あまり寒くならないといいなと思う。