CITRON.

のん気で内気で移り気で。

駅ナカ・スイーツ大実験。

ウチの娘は勉強をするのが大の苦手だというのに、今週はテスト期間なのである。
その上、最近になって塾通いを始めたりしたものだから、帰宅時には生気のようなものが抜けきった、カサカサのパサパサになっている。身体の動きものろのろとしていて、言葉数も少ない。これはあきらかに気のせいだとは思うが、黒目がふたまわりくらい小さく見える。
なんつうかこう、本当に苦手なんだなあ、ということが視覚的によくわかる。まあ、僕も苦手だったので偉そうなことはいえないけれど。

ふと思いついて、今週は会社帰りに「いつもよりいいおやつ」を買うことにした。こういう状態の娘に投与するとどうなるのか、興味があったのだ。試験勉強中の娘を気づかう親心というよりは、好奇心から発生した悪ふざけに近い。

投与したおやつは以下の通り。すべて自宅から一番近い大型駅で手に入るものだ。
月曜日:ビアード・パパの「ナッツ」
火曜日:ベイクの「チーズ・タルト」
水曜日:プレス・バター・サンドの「バター・サンド」
木曜日:シュクリムシュクリの「シュー・シュクリ(北海道生クリーム)」

予想通り、「いつもよりいいおやつ」の効果はてきめんで、食べている間にどんどん肌のハリがよくなり、髪のキューティクルが輝きだし、黒目の大きさも通常通りになった。背を丸め、「うめえうめえ」とがっつく姿は、「日ごろ、満足にご飯を食べていない子」のように見えなくもない。
ちなみに、一番効果があったのは「バター・サンド」であった。たぶん見間違いだと思うのだが、これを食べている間は黒目が通常の1.3倍くらいになり、身体全体が薄い金色に輝き、背中からは大きくゆったりとした羽が生えていた。

この「バター・サンド」は、1個単位で販売されておらず、6個入りとか10個入りの箱単位で買わなければならない。この箱がなかなかすかしていてカッコいいのだが、おやつに支払う金額が4桁を超えると「うっ」となる体質なので、いつか1個単位で買えるようになることを静かに祈っている。

個人的な経験からいって、学生時代のテスト期間をにこにこと笑いながら過ごした記憶がない。
僕は娘よりも早く寝てしまうので「いつもよりいいおやつ」効果がどれだけ持続するのかわからないが、まあ、ちょっとした気晴らしになればいいなとは思う。

……ここまで書き終えたあと、ちょっと調べてみたところによると、例のバター・サンドは東京駅構内にある店舗では1個単位でも売っているらしい。その名も「焼きたてバター・サンド」というらしく、僕が買ったことのある箱入りのものとは違う内容のもののようだ。
これを娘に投与したらどうなるのだろう。
これはなかなか興味深い題材だ。