CITRON.

のん気で内気で移り気で。

散歩はなかなか終わらない。

ふと気づくと、定期圏内の駅はすべて制覇していたのであった。
……といえば、もちろんJRの「機動戦士ガンダム・スタンプラリー」の話である。まあ、制覇といったところで定期の範囲なんてたかがしれているのだが、それでもいつのまにか10駅以上でスタンプを押していたことになる。率直に言って、地味に楽しい。

これをはじめたばかりの頃、ちょいちょいと考えていたのが年齢のことで、それは「体力的にキツイのではなかろうか」というような意味ではなく、「オレ、けっこういい歳だけど、スタンプとか押しちゃってていいのかな」とか、「我が父が今のオレの年齢の時、オレはそこそこ大人だったのでは」とか、そういう類のことだ。
僕はそういうことについて(良くも悪くも)あまり気にならないタイプの人間だと思っていたので、そういうことを考えついた自分にまず驚いた。結局のところは「まあいいや。面白そうだし」という結論に至るわけだが、まあ、そういうことをふと思ったりするお年頃になってきたということなのだろうか。
時々見かけるスタンプ参加者の年齢層は色々で、下は幼児から上はおじいさんまでとけっこう幅広い。とはいえ、よく見かけるのは圧倒的におっさんで、これは僕のスタンプ活動が主に通勤時間帯に行われているからだろう。

ちなみに、「スーツ姿の父親がガンダムのスタンプを押している姿を見たら、女子高生の娘はどういう気持ちになるだろう」とは思わなかった。すでに彼女には、学校の最寄り駅のスタンプを押してもらっているのだ。

スタンプラリーに参加することの面白さは、スタンプを集めるという収集欲というか征服欲のようなものから起因するものだと思っていたのだが、どうやらそれだけでもないようで、単純に、普段使わない駅でまわりをきょろきょろしながら下車したりするのが楽しいのだ。それどころか、わりとよく使う駅の、出たことのない改札から出てみるだけでもちょっと楽しい。これは、散歩が苦にならない人ならわかる感覚かもしれない。

今、定期圏内の駅から歩いていけるスタンプ対象駅を探しているところなので、僕の散歩はもうしばらく続く。