CITRON.

のん気で内気で移り気で。

犬だってまっしぐら。

犬用のケーキというものはとても美味しいものらしく、あげる度にそれこそ狂ったように食べるのだ。
そこまで美味そうにされると飼い主としても興味が出てくるもので、食べている最中のケーキをひとつまみちぎって試食してみようとしたことがあるのだが、得られた真理は「小型犬の歯はけっこう鋭く、力はないものの刺さりどころによってはかなり痛い」というものだけだった。なんにせよ、食べるのに真剣なのはいいことだ。

昨日、バースデーケーキの他に、いつも食べているドッグフードよりはるかに美味そうなディナーもたいらげた我が愛犬は、今日は少し調子が悪そうだ。食べ慣れないごちそうを体が受けつけなかったか、そもそも量が多すぎたか。
犬はお皿に出したら量の多少を問わず全部食べようとするという事実を知らないわけではないのだが、ああ喜んで食べられると、「明日のことは気にせんとたーんと食べなはれ」という気分についなってしまう。
「前日の食べ過ぎ飲み過ぎを後悔することなんて、人間にもよくあることだし」というような、都合のいい言い訳をしつつ、ダメな飼い主だなあとも思うのだ。