CITRON.

のん気で内気で移り気で。

致死量は10センチ。

10センチ、という長さを具体的にイメージするために、ものさしを取り出して見つめてみる。

想像通り、たいした長さではない。
その長さは、だいたい、10センチくらいだろうか(すみません)。

今朝からこの10センチという長さがある種のキーワードになっており、各テレビ局で放送されている情報番組で、司会者が何度も強調していたのである。
それはつまり、今日、予測されている積雪量なのだが、それにしてもたかが10センチである。
いい大人が大騒ぎするほどのものだろうか。
いくら雪に弱い大都会とはいえ、10センチの雪に何ができるというのだ。
……と言いたいところたが、神様から託された試練であるかのようにあちこちですてんすてんと転ぶ宿命を背負った僕にしてみたら、それだけ雪が積もっていれば致死量に相当するくらいの転び方をする自信がある。
それはまるでサッカーのオーバーヘッドキックのような、見事なすってんころりん具合だろう。

……というような、死に至る転び方をするわけにもいかないので、今日の帰宅時は、ひたすら牛歩戦術を展開するのである。