CITRON.

のん気で内気で移り気で。

平熱通信。

早朝にもそもそと起きだして、昨日、近所のTSUTAYAで借りたDVDを観る。
録画したまま観ていない映画が山ほどあるのだから、まずはそちらを消化するのがまっとうな大人というものなのだろうが、「なんとなく、正月っぽいものを」という気分になり、ついつい借りてきてしまったのだ。補足すると、TSUTAYAが昨日で閉店になるということで背中を押されたところもある。TSUTAYAが近所からなくなるのは地味に不便だ。とはいえすげえ不便というほどではなく、気持ーち不便というくらいの利用頻度だったので文句をいう権利は僕にはない。問題はCDのレンタルをよく利用していた娘で、閉店することを知った時には「他の店舗にくらべると品ぞろえもイマイチだし、あまり役に立たないって思ってたけど、なくなるってわかると、来年以降生きていける自信がない」などと青ざめた顔をして言っていたものだ。それを聞いた時にはなんだかいろんな意味で心配になったのだが、とりあえず今現在、自分の部屋でガンガン熟睡している。まあ、無事に年を越せてよかった。

借りてきた映画は『夜は短し歩けよ乙女』と『ラ・ラ・ランド』の二本である。
ほぼ直観で判断して借りてしまったので、なんでこれが「正月っぽい」のか自分でもよくわからないが、もしかしたら僕は、ミュージカル映画が好きなのかもしれない。
ちなみに、『夜は短し~』を観るのは3回目、『ラ~』を観るのははじめてだ。

そういえば昨日は、テレビ放映された黒澤明の『生きる』を録画予約したのであった。けっこうな名作だが観たことがなかったのである。
ミュージカル映画から『生きる』を連想するのもおかしいのかもしれないが、劇中歌が印象的というのは確かだし、そのために僕が『夜は短し歩けよ乙女』を『夜は短し恋せよ乙女』と言い間違えてしまうことがたびたびあるのもまぎれのない事実だ。観たことのない映画なのにこの影響力とは、黒澤明おそるべし、と、見当違いの感心をしてしまう僕が一番好きな黒澤作品は『椿三十郎』で、あまりに好きすぎて、以前、遊んでいたオンライン・ゲームでは、椿三十郎をインチキ英訳した「ツバキ・サーティ」と名乗っていたくらいだ。これはもしかしたら、新年早々、そこそこ恥ずかしいことを書いてしまったのかもしれない。

こうして、年頭の抱負もなにも特になく、新しい年はなんとなくはじまるのであった。

ところで、3回目の『夜は短し~』も、はじめての『ラ~』も、とても素敵な作品であった。どちらの作品も、ラスト近くで口をあんぐりと開けてしまうところがある。理由は全然違うのだが。