CITRON.

のん気で内気で移り気で。

平熱通信。

「あの、クッタというカップ麺を食べると、本当に「食ったあ」と言いたくなるのだろうか。気になって仕方がないのだが」

……突然、娘がそんなようなことを言い出した。ちなみに昨日の夜、特に脈絡もなく、である。
そんなわけで、今日は朝の7時からコンビニに向かうことにしたのである。

ニットの帽子をかぶり、コートを着込み、寒い朝を背中を丸めて歩くのはわりと気持ちのいいことだと思う。「鼻がつべたい」などと独り言をつぶやき、鼻と口から冷たい空気を取り込むことで、頭が冴えたような気になる。なにやらすごくいいことがいくつも思いつきそうな気もする。実際のところはともかくとして、そういう気分になれるのはいいことだ。
……まあ、この場合の「寒い朝」は東京23区を想定しているので、もっと寒いところに住んでいたらぜんぜん違うことを考えていたかもしれない。

買ってきたカップ麺を、「食ったあ」と言ったら負け、という謎のルールを設定して娘と食べる。そういうルールを設定している以上、さすがに「食ったあ」と言うことはないのだが、インスタント麺系は比較的日清食品寄りの我が家にもなかなか好評なのであった。ただ、「食ったあ」と言ったら負け、というルールが脳内で「ラフな口調で食後の感想を述べたら負け」という風に誤変換され、口から出てきた感想が「なかなか美味しゅうございましたね」みたいになってしまった。どこの料理評論家だ。

今年読んだある本に「バカバカしさに忠誠を誓う」という言葉が書いてあって、けっこう気に入っている。僕も忠誠を誓ったひとりであり、それはきっと来年も淡々と続くのだ。