CITRON.

のん気で内気で移り気で。

イケブクロ、メジロ、タカダノヴァヴァ。

これは前回の続きでも何でもないのだけれど、たとえば「オーバードライヴ」という言葉のカッコいいところは、やはり「ヴ」なのではないかと思う。「ば」行の文字の多くは、「ヴ」に置き換えるとカッコよさ、おしゃれさが倍増するのはよく知られていることだ。

「ボジョレー・ヌーボー」

「ボジョレー・ヌーヴォー」

「バイオリン」

「ヴァイオリン」

「ボーカル」

「ヴォーカル」

「ベルサイユ」

「ヴェルサイユ」

……ここで調子に乗って、

「ベルサイユのばら」

「ヴェルサイユのヴァラ」

……まで行ってしまうと効果は半減である。何事にも節度というものがあるのだ。

しかし、時には限界を突破して、新しい景色を見てみたい、そういう気分になることもある。無茶と言われても、いかれてると罵られても、より多くの刺激を求めてしまうことがあるのが男というものだ(いや、実際のところはよく分からないが)。

「ヴ」の適用前後で、カッコよさ倍増どころか数十倍になる言葉を考えて数十分。暫定的に出した答えがこれだ。

「南部せんべい」

「ナンヴセンヴェイ」

ここまでくると、言葉からはもはやSF的な世界観しか感じられない。
未来の乗り物とか、最終秘密兵器とか、とにかくすごいものだ。間違ってもばりぼりと(いや、ヴァリヴォリと)食べてはいけないものになってしまった。