CITRON.

のん気で内気で移り気で。

冬の灯台もと暗し。

僕はわりと早起きで、朝というか深夜というか、4時くらいにはとりあえず目を覚ますことにしている。
元々は夜型生活愛好家だったのだが、せまい我が家で、
「あわただしい生活の中で、少しでもいいから、静かに、一人きりで、孤独を楽しむ時間が欲しいぜ」
……などと思ったりすると、このへんの時間帯を有効活用するしかないのである。起きている人間がいないのだから、静かなのは間違いない。
生活サイクルの変更も、慣れてしまえばどうということはない。起きるのがはやい分、眠たくなるのもはやいのだが、それが原因で大問題が起きたことも今のところは(それほど)ない。人におススメする気はないが、まずまず快適といっていい。

……のであるが、ここ数週間ほど、なかなかベッドから出ることができないのである。
「起きなきゃ起きなきゃ」と頭では思っていても、体がいうことを聞かない。思い当たる原因はいくつかあって、それらのすべてに仕事関係のストレスがからまってくる。まあ、僕のようなへっぽこサラリーマンでも時々はそういう時期がある。ふむふむなるほどそういうことか。今は、毎日が月曜の朝のようなものなのか。

そんなことをしみじみと考えていた昨夜、ふと思いついてエアコンのオン・タイマーを設定してみたのであった。起きる時間帯にエアコンの暖房機能が作動して、室温を少し上げてくれるようにしてみたのである。
そしたら、なんと、信じられないことに、今朝はけっこうすんなりベッドから出ることができたのだ。
それはつまりアレか。ベッドから出れないのは仕事のストレスというような大人っぽい理由ではなく、最近めきめきと頭角を現してきた寒さのせいなのか。
このまま思い詰めたらそのうち「社会のせい」とか「時代のせい」とか言い出しかねないところであった。
実にあぶないところであった。