CITRON.

のん気で内気で移り気で。

今日の日和は。

雨が降ると思い長い傘を持って出社したにもかかわらず、結局、出番のない傘をそのまま持って帰るような日。つまり今日のような日に名前をつけようと思う。
使いもしない傘を輸送しただけなんて悔しいではないか(そうでもないですか?)。あえて使わない傘を持ち歩いていたという風に思いたいではないか(そうでもないですか?)。

長い傘を片手剣に見立てて、「勇者日和」というのはどうだろう。カバンを盾のように構えて、「今日は絶好の勇者日和なので」などと言いながら傘を振り下ろす。「雨が降ったらこうはいかないな」とつぶやくのも忘れないようにしたい。『ドラクエXI』が流行っている昨今なら、賛同してくれる人も多いだろう。

片手剣に見立てるどころか、完全に武器として扱うのもいい。暴力を全肯定するわけではないが、正義を行うためにやむを得ず……というタイミングは不幸にも存在する。その時、片手に持った長い傘は心強い相棒になってくれるはずだ。
「ようようそこのマブい姉ちゃん、俺たちといいことしようぜィ」などと言うようなごろつきどもを華麗な傘さばきでノックアウトし、町の平和を守るのだ。その際も、「雨が降ったらこうはいかないな」とつぶやくのは忘れないようにしたい。我々は雨が降らないのをわかっていて、あえて傘を持参しているのである。決して、天気予報が空振ったわけではないのだ。
こういう日は「成敗日和」と名付けるのがふさわしい。
「今日は久しぶりの成敗日和だから、いっちょこらしめますか」などと言いながら歩いたりするのである。実にスマート、実に大人っぽいふるまいだ。

そうでもないですか?