CITRON.

のん気で内気で移り気で。

地震、カミナリ、火事……がこわいオヤジ。

昨日くらいから、朝晩に窓を開けるといい風が入ってくるようになった。
じっと本を読んでいたりすると肌寒くなるくらいで、つい、どこかにいるであろう天気を統括している神様に向かって、「涼しいのはいいんスけど、次はもうちょっとなだらかな変化をオナシャス」くらい言いたくもなる。
それとこれと関係があるのかないのかわからないが、そういえば昨日から妙に腰が痛い。
姿勢を変える度に走る痛みに、つい「あたた」などと言ってしまうわけで、おそらくここ二日間くらいに関しては、神谷明よりも僕のほうが「あたた」を連発しているだろう。ちなみに、『北斗の拳』は観たことも読んだこともない。

早朝、窓から風といっしょに何かが焦げているような臭いが飛び込んできた。
インターネットで調べてみると、近くで住宅が燃えているらしい。インターネットに限らず、会社だろうがご近所だろうが、世の中には、自分の身の回りの出来事を実況するのが好きな人がたくさんいて、そのオープンな態度は、僕のような「できればこっそり生きていきたい」人間にはとてもマネできない偉業といっていい。特に、こういう時はとても便利だ。
アップされている動画を見ると、ここから10分も歩かずに行けるところが燃えている。
大変なことだ、と思う。

小学生の時、夏に親戚一同で集まっていた母の実家が、火事になり全焼した。
その時僕は、他のいとこ達とひとつの部屋に集められ、昼寝をしていたはずだ。今朝のような「何かが焦げているような臭い」で目を覚ますと、天井にうっすらと煙が漂っていたことを覚えている。
もう何十年も前の話なので、その後の記憶はあまり残っていないのだが、避難した近所の家(といっても田舎なのでそこそこ距離はあるのだが)の玄関から見えたオレンジ色の炎や、その玄関に、自分の息子を抱えた叔母が文字通り転がり込んできた光景はなんとなく覚えている。原因は、子供たちのおやつ用にプリンを作っていた叔母の火の不始末だったらしい。
火事は手当たり次第に燃やし、損なうものだ。そこには、目に見えるものも、目に見えないものも含まれる。
失われたものがなるべく少ないといいなと思う。

今日はなかなかのいい天気らしいが、腰も痛いし、おとなしく部屋の中で過ごすことにしよう。
安い赤ワインとオランジーナで、うっすーい「いんちきサングリア」を作って、ちびちび飲みながら本を読むというのもいいかもしれない(まあ、作るといっても割るだけなんだけど)。
そういえば、昨日、会社の帰りについ買ってしまったカレー味のチーカマが冷蔵庫に入っていて、これもなかなか気になるところだ。チーカマという時点で相当なハイブリッド食品なのに、その上カレー味とは。
チーズとカマボゴとカレー。
強いてカテゴライズを試みるならば、これはどこの国風の味わいになるのだろうか。