CITRON.

のん気で内気で移り気で。

本にまつわるエトセトラ。

そういえば明日は、上野公園で行われるフェスを観に行くのだ。
インターネットをふらふらと漂っていて偶然見つけたもので、「本と音楽の、ちいさなフェス」というキャッチコピーがちょっと気になったのだ。都内(というか上野)だし、「フェス」と名の付くイベントにしてはチケット代も安いし(ここ大事)、毎年楽しみにしている「World Happiness」というフェスが、今年はいまだにやるともやらんとも言ってこないし(こことても大事)、ふと気づけは、まあ、行ってみるか、とチケットを買ってしまっていた。

フェスのタイトルは「Lotus music & book cafe '18」だし、キャッチコピーも「本と音楽の……」というように、音楽よりも本のほうが先に書いてあるし、会場には移動本屋が来るらしいし、もしかすると、ステージで演奏されている音楽を聴きながら、椅子に座って本を読んでいてもいいのかもしれない。登場するミュージシャンで知っている人はふたりしかいないけれど、どちらも激しくエモいロックンロール!という感じではないから、そういう可能性もワンチャンあるような気がする。
……この「ワンチャン」の使い方があっているのかどうか、自信はあまりない。「ワンチャン」と「まじ卍」は使い方がもうひとつ理解できていないようで、その道の権威である娘に例文を口頭で提出するもののいい点をもらえたためしがない。

話がそれた(とはいえいつものことだ)。
そういうフェスであれば、ぜひとも今読んでいる小説を持っていこうと思ったのだが、そのお話の舞台が、「拷問と公開処刑が常態化している架空の日本」で、最終的には事態は好転するとは思われるものの、現時点では「さわやかな空の下で読むのはいかがなものか」というシーンが多い。明日にあわせて、なにか他の、もっとのん気な感じの本を探したほうがいいかもしれない。自宅になければ、明日、本屋に寄ってから会場にいってもいい。そういえば、芳崎せいむの『鞄図書館』というマンガの新刊が出ているはずなのだ。

『鞄図書館』とは、古今東西世界中すべての本を取り出すことができる鞄と、それを持ち運び移動図書館としてこれまた古今東西を旅する髭面の司書さんの物語で、司書が寡黙なわりには鞄がよくしゃべる。いや、なにかの比喩ではなく、実際に話す鞄なのだ。 物語にはたくさんの本が登場して、たぶんその中に読んだことのある本は一冊もなかったのだけれど、それでも「本を読むのが好きでよかった」という気分にさせてくれる作品だ。問題はたまにしか新刊が出ないというところで(1巻が2009年、2巻が2013年、3巻が2016年、4巻が2018年に刊行)、新刊が出た時にふと既刊分を読み返したくなっても、これだけ間が開いてしまうとそれが行方不明になっていたりする。
まあこれは、『鞄図書館』の責任というよりは、僕がズボラなのかいけないということなのだろうけど。

ということで。
明日の件は、突然、強い思い入れがあるわけでもなくチケットを買ってしまったイベントなので、油断するとつい記憶からこぼれがちなのである。
ついうっかりして、明日、普通の日曜日を過ごしてしまわぬようにここに書いてみた次第だ。