CITRON.

のん気で内気で移り気で。

DJ Please.

会社に着いてから、目薬3点セットを忘れてきたことに気付く。
病院で処方されたもので、朝晩2回点眼することになっている。それなりに副作用もあって、それについて主治医に相談したら、「目薬やめたら副作用も治まりますよ。そのうち失明しますけどね」と脅されたやつだ。
それだけ僕の人生に大きな影響を及ぼしているものとはいえ、一生続けなければならない中の一回くらい抜けたからといってどうということはない。
どうということはない、ということはわかってはいるのだが、目薬がカバンに入っていないということがわかるとつい不安になる。一回目薬ができないだけのことで、正真正銘、不安になるほどのことではないのだが。

……こういう状況の時、僕の頭の中にはなぜか『おばけなんてないさ』という歌が流れてくる(ちなみに童謡だ)。それも、冒頭の「おばけなんてないさ、おばけなんてうそさ」という部分だけがループするのである。
おそらく、不安に打ち勝とうという気持ちがこの曲を選び、脳内で再生しているのだろうが、過去、特に熱心に聴いていた記憶もないし、ましてや今だって聴くことはないこの曲がどうして選ばれてしまうのだろうか。
こういってはナンだが、僕ももういい大人なので、脳内にはもっと大人っぽいイカした曲も入っているはずなのである。それもけっこうたくさん。
しかし、僕を不安な気持ちから救うために、数千数万の収録曲の中から選ばれ、再生されるのは『おばけなんてないさ』。
この歌が嫌いということはもちろんないが、もうちょっと他になにかないですかね、と、脳内のDJに聞いてみたいところなのである。
つられてうっかり口ずさんでしまったりすると、ちょっと恥ずかしいじゃないか。