CITRON.

のん気で内気で移り気で。

決戦は水曜日。

会社からの帰り道、ついでがあったのである繁華街のいわゆるデパ地下を覗いてみる。

様々な「あまいもの」屋さんが、来るべきホワイト・デーの為に特設売り場を設けており、老若&おおむね男性のお客さんが行列を作っている。
なかでも某有名チョコレート店にはあきれるほど長い列ができていて、晩ごはんの時間帯になんてことだ、と思う。

「あまいもの」を選んだり買ったりするのは嫌いではないが、行列は苦手だ。
それが必要なのであれば並ぶっちゃ並ぶのだが、できるだけ並ばない人生を選びたいと常々思っている。ちなみに僕の生涯で行列にもっとも長い時間並んだ記録としては、「のべ10時間」というものがある。娘に連れられて、上野の美術館にある漫画家の作品展を見に行った時の記録だ。内訳は、美術館に入るまでに5時間、その後、物販コーナーの順番待ちが5時間というもので、待ち時間の最後のほうでは、心身から「疲れ」という感覚すら消えかけていたような気がする。帰りの電車の中、「やればできるんだなあ」と他人事のように感心したことを覚えている。
それはそれとして、明日は僕もどこかで何かを買わなければならない。家族用の「あまいもの」なのだが、そこに犬(女の子)の分も含めるべきかどうか、少し迷っている。

ところで。
この某有名チョコレート店を見かけるたびに頭に浮かぶ言葉があって、それはある落語家がネタに入る前のマクラで言っていたものだ。

ゴディバ対メカゴディバ。

なんだかもう、口の中でこの言葉を転がすたびに「ふはははは」と笑ってしまうのだ。
この言葉の何がどう面白いかというと……というような脳の動きの前の段階ですでに笑っている。語感がいいのだろうか。

シンゴディバ。

ふははははは。