CITRON.

のん気で内気で移り気で。

タイマー起動のサプライズ。

毎朝乗る電車でよく一緒になるサラリーマン風の人がいて、年齢的にはおじいさん一歩手前という雰囲気なのだが、電車に乗り込むたびにカバンを座席上部の荷物棚にぶん投げるのである。投げ込んだカバンはけっこうな音を立てて、ななめに棚に収まる。

毎朝のことながら、びっくりする。
もっと大事にあつかったほうがいいのではないかとか、中に入っているものは無事なのだろうかとか、そういうことが気になったのも最初のうちだけで、今や僕にとってのそれは「ただびっくりする」だけのイベントになってしまった。世の中にムダなものはなかなかないとはいうものの、このイベントは僕にとってかなりムダなもののような気がする。毎朝のことなんだから少しは慣れればいいようなものなのだが、きっちりと毎回びっくりする自分が腹立たしいやらかわいらしいやら、だ。
朝の7時ちょっと前、という、頭がしっかりと起きていない時間帯なのがいけないのだろうか。今後もきっと、毎日びっくりし続けるのだろう。