CITRON.

のん気で内気で移り気で。

私は貝にならざるを得ない。

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を観た。
つまり、これからしばらく、この作品についてのネタバレ発言をぽろりとしてしまわないように、細心の注意を払いつつ生活しなければいけないということだ。

「こういうことがある」と言ってしまうのがネタバレだとすれば、「こういうことがない」と言うのも同じようにネタバレになる。極端な話、

「いやー、まさか『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』にスーパーマンが出るとは」

……みたいなことを言ってみたとする。出るわけのないキャラクターの名前を出すことで「そんなわけねえだろ」という展開に持っていく安手な冗談だ。
ところが、「もしかしたら、次のスター・ウォーズにはスーパーマンが出るかもしれない」と本気で信じている人にとっては、この会話の流れは重大なネタバレになる。「なんだよ……スーパーマン出ないのかよ。とんだネタバレだよ。もう映画も観ないしお前とも絶交だよ」という事にもなりかねない。ここでは、明らかにスター・ウォーズに関係のないキャラクターを例にしているが、これが例えばスター・ウォーズ過去作でとっくに鬼籍に入ったキャラの名前だったとしたら、その復活を信じている人には非情なネタバレになる。特にSF映画というものは、ストーリー上すでに退場したキャラクターや設定が、いろんな理由をつけて復活しやすいジャンルなのだ。時間跳躍とか並行世界とか四次元ポケットとか持ち出されたら大抵のことはできてしまう。

映画を観ていない人間が偶然当ててしまったネタバレと、映画を観た人間が無意識に言ってしまったネタバレとでは、たとえ悪気はなかったにしても罪の重さが違う。映画を観てしまった者としてはこの件について固く口を閉ざし、同じ映画を観た者を見つけては安堵のため息をつき、「実は……俺も観たんだよ」と小声で言いつつ共犯者同士のニヤリ笑いをするしかない。

ところで、あの映画を僕はそれなりに楽しく観たのだが、どうしても腑に落ちないところがあるのだ。それはあるキャラクターについての事で、あるシーンの意味がまったくわからないのである。もしやそのシーンの直前で突発的に居眠りをしてしまい、それについての説明的な部分をまったく見逃してしまったのではないか……と思うくらい理解ができない。この心中のモヤモヤ感は大変なもので、誰かに相談したくて仕方がない。
ちなみに、調べ方が悪かったのかもしれないが、ざっと見た限り、インターネットに僕の欲しい答えはなかった。こうなるとやはり、どこかにいる共犯者を探すしかなさそうだ。
それくらい、モヤモヤモヤモヤしているのである。できれば年内にカタをつけて、スッキリとした新年を迎えたいところだ。