アーモンド・チョコレートを食べ終わり、名残惜しさを感じつつ空箱をつぶす時に毎回思うのだが、箱に残った香りはアーモンド・チョコレート本体よりいいような気がする。
「も、もしかすると、箱の内側に、もっといいチョコレートを薄く塗りつけているのでは?」
……というようなことを、「はっ」とした顔をしつつ両手で口を押さえるという、典型的な「驚いた時の仕草」をしつつ考えてしまうことがいまだにあるのだが、もちろんそんなことがあるわけがない。たぶん。
そういうわけで、子供の頃以来数十年、空箱を捨てる直前に、未練たらしくすんすんと匂いをかいでしまうのだ。