「しんどい」という言葉の意味は、「骨が折れる。つらい。くたびれる」といったあたりになるのだろうが、その語源は「心労」が転じたもの、という説と「辛労」が転じたもの、という説があるらしい。少なくとも、手元にあるふたつの辞書には、それぞれ「心労説」と「辛労説」が記載されている。ひょっとしたら、第三、第四の説もあるのかもしれない。
「心労」も「辛労」も読みは「しんろう」になる。それぞれの言葉の意味は、
「心労」……あれこれ気を回して心を悩ますこと。
「辛労」……実際につらい苦労をすること。
……と微妙に違う。ここが微妙に違うと、それが転じた「しんどい」のニュアンスも微妙に変わってくるような気がするのだが、それはそれとして、何日か前、携帯電話のメモアプリに、
「しんどい」の意味は辞書によって違うっぽい。
……とだけ書きとめた僕は、いったい「しんどい」のどこにそこまでの興味を持ったのだろうか。書いた時の記憶がすっぽりと抜け落ちている今となっては永遠の謎ではあるが、この言葉に興味を抱いたということは、それなりに「しんどい」理由があったのかもしれない。
うむ、この件については今回は深く考えないことにしよう。
ところでこの「しんどい」をカタカナで「シンドイ」と書くと、東南アジアあたりの人の名前に見えなくもない……ような気がする。
少し気弱だが心優しき青年シンドイは、仕事を求めて首都ヤンナッタへ。そこで彼は、可憐な踊り子ダリイに出会い、恋に落ちるのであった。
(『シンドイの恋』より)
がんばれシンドイ。