CITRON.

のん気で内気で移り気で。

人肌マヨネーズ発生事件。

娘の学校の文化祭で行われるバザーに出すものを、雨が降る中、学校まで持っていく。
本来は娘が登校する際に持っていくものだが、すっきり潔く忘れていったのだ。
学校から配布された説明用のプリントによると、今日の午前中までに必ず提出しなくてはいけないらしい。ちなみに、提出するのは生徒でも保護者でもいいそうだ。

そのプリントによると、バザーに出すものはなんでもいいというわけでもないらしく、特に推奨されているものはマヨネーズとかドレッシングとかいうような、どのご家庭でも使いそうでサイズ的にもそれほど大きくない調味料とのことだ。我が家で用意した紙袋には、どこかでもらった化粧箱入りのタオルと、マヨネーズとかドレッシングとかの運営側推奨品が入っていた。

この紙袋の、底が抜けたのだ。
ちなみに、学校の最寄り駅に着いたあたりでの出来事である。
紙を弱らせるほどの強い雨というわけでもなかったと思うのだが、突然、紙袋は裂けはじめ、あっという間に底が抜けたのである。

学校に着くと、受付にはバザーに出すものを持ってきた保護者が数名と、それを受け取る係の人が数名いた。係の人たちが口々に、「雨の中、おつかれさまです」というようなことを言っているのが聞こえてくる。
ひとりの係の人が僕に気付き、驚いた様子で、
「大丈夫ですか?」
と話しかけてくれた。
化粧箱入りタオルといくつかの調味料を胸の前あたりで抱え、なるべく雨にぬらさないように前かがみになり、右手に傘、左のわきの下には持ち切れなかったマヨネーズをはさんだ男が小走りで現れたのだから、驚くのも無理はない。

そういう意味では、娘が持って行かなくてよかったと思った次第である。