CITRON.

のん気で内気で移り気で。

雨にも負けたい、風にも負けたい。

朝から雨が強い。
やれ洪水警報が出たとか止まってしまった電車があるとか、気持ちが不安になるようなニュースを聞きつつウチを出る。
寒い。
今日は上着があってもよかったなあ、と思う。

大雨とか大雪とか台風とか、それこそあの震災の後だって、電車が動けば会社に行くのがサラリーマンだ(……いやまあ、世の中にはいろんな通勤形態があるから一概にはいえませんが)。

どんなことがあってもやり遂げる、ということを表現するときに「雨が降ろうがヤリが降ろうが」という言い回しを用いることがあるが、ヤリは降らないけどミサイルが降りかねない昨今である。
もしもどこかでミサイルが発射されて、それが東京の上を通過するという情報が入ってきたとしても、電車が動いていれば僕は会社に行くのだろう。

人の運命を左右するような非常事態が起きるかもしれないという状況で、僕の運命の方向は電車が動いているかどうかで決まる。
そういう風に考えると、電車が本当に運んでいるものの価値の重さに驚いてしまう。電車は単にモノを運ぶ乗り物ではないのだ。
電車ってすごい。

というようなことを考えながら、「雨やだなあ傘たたむの面倒だなあああもうズボンのすそがぬれてきた」などとつぶやきつつ、今日も出社するのであった。