CITRON.

のん気で内気で移り気で。

ストロベリーとホルスタイン。

アルコールのパッチテストの結果によると、どうやら僕はお酒に強いらしい。
これはなかなか意外な結果であった。お酒をひとくち口に含めばたちまち顔が真っ赤になり、5口も飲めばもはや何を言っているのかわからなくなるというこの自分が、まさかこういう結果を出すとは思わなかったのだ。

パッチテストでわかることは、お酒を飲んだときに体の中でそれを受け止める器にあたる部分が丈夫かどうかということだけで、アルコールが体に与える様々な影響、たとえば、量を飲んでも平静な状態をキープできるか、失敗のないいい酔っぱらいでいられるか、いくら飲んでも太らずにいられるかというような「肝心な部分」について判定するものではないのかもしれない。
それにしても、アルコールに弱くないのであれば、顔も赤くならなければいいのになあと思う。まあ、顔が赤くなることで人に迷惑をかけたことはない(と思う)し、もしも神様がなんでもいいからひとつお願いをかなえてくれるというような事態になっても、これをなんとかしてもらおうとまでは思わないのだが、日々なるべく目立たないように生きていきたいと願っているような人間に、この大々的な赤みは不要なのだ。

そういえば、お酒を飲み始めた頃は、酔うと体がまだらに赤くなったものだ。それはたとえば、乳牛の柄の黒い部分がピンク色になった状態というのが近いかもしれない。
なにかのきっかけで知人のひとりにそれがバレて、その後しばらく、飲みに行くたびにシャツを脱ぐようねだられた記憶がある。そこまでして見たがるくらいだから、まだらに赤くなるという乳牛模様体質はそれなりに珍しいのかもしれない。思えば我が人生で唯一、自分の体に熱視線を浴びていた時期である。もちろんシャツを脱ぐことはなかったけれど。

それにしても。
本来、黒であるはずの部分がピンク色になっている乳牛を想像すると、それはなかなか可愛らしいような気がする。乳しぼりをするとイチゴの甘いにおいをただよわせたピンク色の牛乳が出てきそうだ。

イチゴ乳牛からしぼられるイチゴ牛乳は、温かいうちに砂糖など入れずに飲むのが僕の好みだ。

……って、調子に乗って何を言っているのだ。
濃い牛乳を飲むとすぐにお腹が痛くなるくせに。