CITRON.

のん気で内気で移り気で。

負け惜しみWinner。

朝の通勤電車がやけに空いていて、そこでようやく、先週、朝の情報番組でキャスターのお姉さんが言っていた謎の呪文のような言葉の意味がわかった。
お姉さんはたしか、

「サイダイキューレンキューニナルカタモ」

と言っていたのだが、これはつまり、

「最大9連休になる方も」

と言っていたのか。

今日と明日を休暇にできれば、先週土曜からの9連休になる。カレンダーを確認してみると、理論上は可能なようだ。
しかしそれはあくまで机上の空論。研究室から外に出たことがないような学者たちの頭の中にしかない砂上の楼閣のようなものだとされてきた。……少なくとも僕の周囲では。
「地球上の人たちが皆同時に武器を捨てたなら、戦争はなくなるだろう」というような言葉と同じくらい、理想的ではあるけどただそれだけのこと、という類のものだったはずなのである。……少なくとも僕の周囲では。

ところがどうだ。この電車の空きっぷりは。
まあ、車内がガラガラというほど空いているわけではないが、座れずに立っている人の数がいつもよりかなり少ないのは確かだ。
「この日とこの日に休めたら大型連休」などという仮説が、いつの間にか世の中ではけっこう実用化されていたということか。どうやら、部屋から外に出ることを怠っていたのは僕たちのほうだったようだ。
ひょっとしたら、個人的には「もうすでに死語なのでは」と思っているプレミアム・フライデーも、けっこう浸透しているのかもしれない。

まあ、休める人はおおいに休み、大型連休を堪能していただきたい。こちらは、その分空いた駅のホームや電車内で、快適な通勤をおおいに楽しむとしよう。
我々の休暇は中型連休だが、快適な通勤の価値は高い。
今日明日休んで大型連休の人と、休めないけど快適通勤プラス中型連休の我々の関係はWIN WINといっていいだろう。WIN WINなんて言い回しを使うのは初めてなので、使い方があっているのかまったく自信がないが、肝心なことは、これは負け惜しみではないということだ。
負け惜しみではないものの、冷静に考えると、WIN WINはやや言い過ぎかもしれない。もしかすると、実際はWIN winくらいのような気もしないでもない。もちろん、右のwinが我々だ。

……別にすんごい忙しいわけでもないんだから、休もうと思えば休めるんだろうけど、なかなかそうはいかないんですよねえ……。