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のん気で内気で移り気で。

ミド戦記その2:そんな装備で大丈夫か?

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さて。
久々に冒険者としての活動をはじめることになったわけだが、だからといって「ではさっそく」とばかりにいきなりダンジョンに直行したりはしないのである。なんといっても僕は大人なのだ。あの頃の、ヤンチャで無鉄砲な少年時代の僕とは違うのだ(まあ、ヤンチャで無鉄砲なのはゲームの中だけだったのだが)。

まずは、冒険に必要な装備について検討しなくてはならない。
装備といっても、冒険者が持つ剣や防具のことではない。真っ先にそれを思いついてしまうようでは、まだまだ青二才といっていい。
今、検討しようとしている装備。それは、冒険者になる前の僕自身のための装備のことだ。冒険者が、モンスターの属性に応じて剣を選ぶように、冒険者になる準備として、僕が真っ先に選ばなくてはならないものがある。ここでの装備の選択を誤ると、後々、冒険の進捗におおいに響くことになるだろう。

まず、僕が選ぶべき装備。
それはメガネだ。
遠距離、近距離、至近距離と、見たいものの距離にあわせてチューニングしてある3本と、累進レンズを搭載した1本(いわゆる遠近両用というやつだ)、合計4種類のレンズを縦横無尽に使い分けているメガネ・エキスパートとしては、ここでの検討を怠るわけにはいかない。
なぜなら、あの頃のヤンチャで無鉄砲な僕とは違い、今の僕は、小さい画面がよく見えないのである。
些末な事象にとらわれず、常に大局に目を向ける。これが大人のふるまいというものなのだ……とかなんとかごまかしてもいいのだが、要は老化現象だ。だいたい、ゲームボーイの画面はどうしてこんなに小さいのだ(面積でいえば、今使っているスマート・フォンの画面の3分の1くらいしかないのではないか)。
その上、解像度も荒いので、ゲーム画面に表示されているキャラクターたちが、時々、「ごちゃごちゃ動く何か」にしか見えないこともある。キャラクターの見分けがつかないというのはかなりの大問題で、自分と人間型のモンスターを見間違えていて、方向キーをいくら押してもウンともスンとも動かないと思ったら、実は画面の端にいた自分が水だか毒だか溶岩だか、とにかく液体のように流れるなにかにはまって死んでいたりするのだ。視認性を高める努力は怠らないほうがいい。

そういう意味では、現在、手元にあるふたつのゲームボーイゲームボーイ・カラーと、ゲームボーイ・ポケット)のどちらをメイン・マシンにするか、という検討も必要だ。画面のサイズだけでいえば、ポケットのほうが大きいのだが、経年劣化のせいなのかイマイチ液晶の色が薄く、うすぼんやりとした印象を受ける。対してカラーのほうの画面はくっきりと見えるのだが、そもそもの画面サイズが小さい。

熟考の結果、メガネは日常使いしている累進レンズのもの、ゲームボーイはカラーを選んだ。メガネについては、本来なら至近距離用のほうがよく見えるのだが、冒険の期間が限られていることを考慮すると、空いている時間にどこででも冒険ができるような体制にしたほうがいい。冒険用に至近距離用メガネを常に持ち歩くよりも、視認性がやや劣るメガネでの冒険に慣れることを選んだのだ。余分なメガネひとつを持ち歩く手間のあるなしが、今後の冒険にどれだけ影響するのか。なかなか興味深いところだ。
ゲームボーイ・カラーを選んだのは、なによりもキャラクターの見分けのつきやすさを優先した。メガネの選択にしろ画面サイズの選択にしろ、身体へかかる負担をある程度想定した選択になった。もはや少年の頃とはひと味もふた味も違う我が心身がどれだけついていけるかわからないが、これくらいの覚悟を決めて冒険をするのが大人の冒険者というものなのだ。

なんといっても、説明書もない30年近く前のゲームをクリアしようというのである。失敗したところで命に別状はないが、それなりの覚悟をもって挑まないときっと歯が立たないだろう。
ここまできたらいっそ作業着に着替え、額に冷えピタを貼り、「ミド課長」とでも名乗りたい気分だ(ちなみに、『ゲームセンターCX』は劇場版しか観たことがないので「課長」のイメージが正しく把握できているのかちょっと自信がない)。

しかし、何がすごいって、ここまでの段階でかなり頭をひねり、それなりに充実した作業を行ったような気になっているにも関わらず、まだ冒険ははじまってもいないのだ。

冒険の期日は5月末日。こんなペースで間に合うのだろうか。
ここだけの話、今のところ勝算はない。